産業用電子ペーパーを導入する前に知っておきたい基礎知識（活用例や動向）

電子ペーパーとは

電子ペーパーとは、紙媒体と電子媒体の長所を兼ね備えたディスプレイのことです。主に産業用として使われ、様々なシーンで活用されています。

産業用電子ペーパーがもつ紙媒体と同様のメリットは以下のとおりです。

• 視野角がほぼ180°
• 省電力表示
• 明るい場所でも視認性が高い
• 薄くて軽量なディスプレイ
• その場での書き込みが可能

視野角が広い為、どの角度からでも見やすい性質があり、スーパーの電子棚札などに利用されています。電気を使用するのは画面を更新するときだけで、表示された画像は次の更新時まで保たれ、表示中は電力を消費しません。

省電力で経済的な表示方法です。表示はバックライトを使わず、外部からの光を反射するスタイル。屋外の明るい場所でも見やすいのがポイントです。はっきりとした文字表示は、紙の文書を読んでいるような感覚。さらに、他のデバイスに比べ、薄くて軽いディスプレイのため持ち運びも便利です。スタライスペンを使って書き込みもできます。

産業用電子ペーパーの電子媒体ならではのメリットは、以下のような点が挙げられます。

• 書き換えが可能
• かさばらない
• 検索や集計作業ができる

電子媒体は瞬時に書き換え可能である点が紙にはない特色です。パソコンに入力した内容を一括して送信し、変更を電子ペーパーに反映できるため、短時間で作業が完了します。

反対に事務所のパソコンで作業開始後、現場に電子ペーパーを持ち込んで作業を行い、パソコンに反映させるという使い方も可能です。即時反映できるため、転記に伴うミスが発生しません。

また、利用している帳票をPDF化すると、大量のファイルもかさばらずに手軽に持ち歩けます。印刷や配布などの事前準備が不要になり、ペーパーレス化が可能です。検索や集計など電子媒体特有の機能も駆使できます。

電子ペーパーの活用例

産業用電子ペーパーの具体的な活用例について見ていきましょう。

会議資料のペーパーレス化

紙の資料を産業用電子ペーパーに置き換えることで、会議資料の印刷や差し替え、配布など膨大な作業の負担を軽減することが可能です。紙やトナー、ホチキスといった事務用品のコスト削減にもつながり、経済的かつ地球環境にも貢献できます。

屋外や移動先での記録

産業用電子ペーパーは、太陽光の下でも画面が見えやすいのがポイントです。現場の視察や屋外の調査でも視認性が高く、メモや調査記録などを書き込めます。そのままデータ保存できるため、入力の手間もかかりません。また携帯性に優れているため、どこでも自由に閲覧できるのも魅力の一つです。旅行のアテンダントやジムトレーナーなど、様々な職種で活用できます。

プロセスの記録

産業用電子ペーパーは、実験など作業の過程が重視されるシーンでも有効です。時系列のプロセスを他者と共有できることに加え、大量の紙の保管場所に困らず、なくす心配もありません。また原稿に校正を加える場合など、手書きの箇所がそのまま共有できる点も便利です。

スーパーの値札の電子化

紙に印刷したり手書きで書いたりしていた値札を産業用電子ペーパーにすると、業務の効率化が実現できます。価格をパソコンなどから一括で変更でき、値札の貼り替え作業が不要です。買い物客にも見やすい表示を提供できます。

マニュアルのデータ化

整備マニュアルなどをデータにすることで、軽量化が可能です。軽くて薄いため取り扱いやすく、様々な場所に持ち運んで利用できます。紙と異なり、きれいに素早く書き換えられるのもポイントです。

産業用電子ペーパー導入に興味がある方は、ぜひ株式会社F&Lソリューションのトライアルサイトをご利用ください。

時代とともに進むペーパーレス化

昨今は多くの企業でテレワーク促進やSDGs推進の一環として、ペーパーレス化が進められるようになりました。ペーパーレス化が取り組まれる理由として、他にも「事務効率を上げて残業時間を短縮する」「検索性の向上」などが挙げられます。

ペーパーレス化推進事業として導入するシステムの例は、電子ワークフローや勤怠管理システム、経理管理システム、見積書・請求書発行システムなど。今後予算を追加してシステムの導入を検討している企業も多く、ペーパーレス化が企業内で有効に活用されていることが想像できます。

また、ペーパーレス化の推進が実施されていない企業内では、紙を使用することによる無駄なコストが問題視され、紛失や情報漏えいによるセキュリティ面でのリスク懸念もあります。ペーパーレス化が進んでいないことが企業のブランドにおいてマイナスに働いていると感じている方もいます。そのため、今後もペーパーレス化がさらに加速するでしょう。

産業電子ペーパーの導入は、ワークスタイルの見直しを可能にし、社員のQOLの向上に貢献することも可能です。コスト削減や業務効率化により企業の業績アップも期待できます。さらに、先進的なシステムの導入が顧客から注目されれば、企業のブランドイメージの向上につながるかもしれません。

産業用電子ペーパーの需要・動向

産業用電子ペーパーはフルカラー化や大型化、紙のように折り曲げられる柔軟性などを実現し、その用途は年々拡大を続けています。

フルカラー化により電子書籍や電子新聞、電子雑誌などがより読みやすく、エンターテインメント性の高いものになりました。また、大型化により屋外及び屋内の電子看板として、広告を表示したり情報を配信したりしている例もあります。紙のように曲げられる柔軟性を利用すれば、湾曲壁面への情報表示も可能です。

元々ペーパーレス化を目的に開発された産業用電子ペーパーですが、紙の代替品としてだけではなく、様々な使い方が模索されています。海外では空間演出やインテリアとして利用されている例もあり、今後ますます活用の幅が広がっていくことでしょう。

なお、世界的に見た電子ペーパーの売上高は、年々上昇傾向にあります。例えば、電子ペーパーディスプレイ最大手である台湾の「イー・インクホールディングス」は、2020年の売上高が252億台湾ドル（日本円で約1,002億4,145万4,615円）と過去最高を記録しました。

さらに電子書籍端末や電子棚札、電子看板など様々な用途に対する需要の高まりを受け、2023年には新工場の完成が予定されています。これにより、生産能力が現在の約5倍にアップする見込みで、生産数の増量だけでなく表示品質の向上など、技術面のグレードアップにも期待がかかります。

大きく進展する可能性を含んだ電子ペーパー市場の動向にこれからも注目していきましょう。